2016.09.20

オープンワークショップの社会的意義

「みんな北斎」の公募開始に先駆けて、公募展の開催地である墨田区で、障害者アートのオープンワークショップが開催されました。参加者・スタッフあわせ100名近くが参加し、ものづくりの街墨田区ならではの、すばらしいワークショップとなりました。そのプロデュースを担当したワークショップデザイナーの加藤未礼さんからのレポートをご紹介します。

13668648_1084688961615965_7441936546026650985_o

7月23日墨田区生涯学習センターのユートリヤで、全体を統括する私と、アートディレクションをするアーティストの前田麻里が『障害とは何か』を疑いなから、何も土台のないところから設計し、実行した『ほくさいあそび』。北斎マインドと、そういった我々設計者のマインドが、このワークショップを貫く骨格となり、表層的には美しく楽し気な場にし、内容には魂を吹き込み、1日のイベントは花開きました。

23日当日の2日後、相模原のやるせない事件が起こり、ますますこの日に感じたこの場の意義を深く感じました。目指すは、障害者とか福祉という枠組みを解体していき、誰もが理解しあえる社会とするという気運があちこちで起こっていたところを、あのような事件が起こると、ますます閉鎖的になっていくのではないかと危惧します。

13698166_1084434711641390_7087650190061428038_o

そういう視座から見ても、誰もが参加できるという本当の意味でのオープンワークショップの必要性が感じられる。関わりを持つ場が日常にない人たちへ、あえて横軸でつなぐ役割はワークショップに担える可能性が高いということの裏付けを得られる1日でした。

障害者差別解消法が今年度施行され、各地でその権利を伝える施策が始まっています。このワークショップも対象を、『子どもたち』に絞って、障害のある子もない子もという募集にし、この法律で権利を主張する前に、社会の受け入れの土壌がある地域づくりをしようというビジョンが立てられるのではないかと考えました。

13765910_1084436184974576_8436513414538670007_o

今回は、アーティストを中心に、地元の企業や作家の方にもご協力いただき、ワークショップの構成を組みました。北斎をテーマにしたことで、北斎画の展示だけではなく、多種多様な絵を表現することに挑戦した北斎のマインドが、主軸となり、すべてのコンテンツが五感で楽しむ、わくわくする内容となりました。そして、老若男女が楽しめる企画となりました。

福祉のフィールドが中心となり、縦にわれている種別の職業や人が、横軸にアートでつながるという可能性を、体現した内容となりました。

生涯学習開発財団認定ワークショップデザイナー 加藤未礼